きままにほろり

銀色のシールの貼ったゲームのネタバレ感想ほか、徒然なるままに。

金色ラブリッチェ-Golden Time-

金色本編の発売から約1年でのサガプラ新作のお知らせに、新作にしてはかなりスパンが短いなと思いつつその時を迎えた自分は正直驚きました。まさか金色のFDが出るとは…発表されてから本編での気になる置き土産を反芻しつつ発売日を待っていました。

自分が若干のトラウマを抱えた花咲でもFDを出さなかったのにこの作品でどのようなものにするのか、理亜ルートはあれで綺麗な結末だったと自分に思い込ませつつも、絢華の掘り下げを期待していた身としてはかなり複雑な心境でした。これまでFDという名の付く作品をほとんどやってこなかった者として、既に完成されたと思っていた金色本編からどのように話を発展させるのか戦々恐々としていた気持ちもありました。

 

すべてプレイし終えてからこの感想を綴り始めるのに一応、(本当は過去の自分の駄文なんて見たくもないのですが)前作の時に自分がどんなことを書いていたのか見てみると全体的に見て過去の自分が救われた作品になっていたのかなと思いました。

絢華

 実はFD発売にあたって一番期待していた進行。理亜進行において過去の二人の関係性が明かされた時の態度の変化が、実際の恋仲として描かれた時にどのように現れるのだろうかと一番期待していた。期待からは斜め下の答えが提示された。

FDを購入しようとしたきっかけがこれだったのでこの二人が過去の自分と繋がるのは何時かなーと楽しみにしながら進めていたら、まさかエピローグまで終えてしまうとは流石に想定外だった。関係性の変化による動きを期待していた自分のような者は正直期待外れと言ってしまうが、ただ絢華といちゃいちゃする関係になりたいという意味でいえば充分過ぎるくらいに応えれていたように思う。じいちゃんチョロ過ぎ。

 

ミナ

本編では主人公に終始関わりつつも全くルートが形成されなかったが、今回にて満を持して独立した進行が組まれた。同じ王女という立場ではあるがシルヴィが奔放的なのに対して、真面目なミナがどのように描かれるのかと思っていたが、終始初心だった恋愛に対してもやっぱり真面目だった。絢華進行と比較していまいち主人公が攻めきれてない感が否めないが、この二人についてはこれでいいんだと思う。

 

アペンド

FDという形であるがメインで扱われるのは絢華・ミナ・マリアの三人で他の四人とのやりとりが見たければ、こちらのみ。物語の改変に絡むことのないような当たり障りのない、ただいちゃいちゃを楽しむところ。ただし絢華は少し特殊で早々に明かしていたらこうなっていたかも…という可能性がここで救済される(なお)。

 

マリア(理亜)

絢華とミナ進行で終わりかと思っていたら現れたひとつの可能性。本編での主人公と理亜とは違った形で二人は結ばれ、本編とは違った結末を迎える。本編では主人公に理亜とのいずれの別れに対する覚悟を持った状態で付き合い始めるが、FDでの主人公にはそこまでの覚悟がない。本編で理亜の前ではイケてる彼氏でいようと気丈に振る舞った主人公を見てしまうと、FDの主人公は頼りないあまり感情移入しづらい像ではあるものの、その主人公によって迎えられる結末はハッピーエンドとしては申し分ないもののように思えた。

ただ本編の主人公をあらかじめ見ていたからこそ、FDで救われる主人公像を受け入れることが出来たのであって、FDの主人公だけ見てしまうと若干の嫌悪感を抱かせてしまいかねない危うさを孕んでいるように思えた。本編の主人公のように常にベストで尽くすことも大切だが、FDの主人公のように明るい可能性を期待した方が結果はマシになるのかもしれない。

前作でシルヴィとの間にいたマリアに違和感があったのだが、もしかしたらFDのひとつの可能性と絡んでいるのかもしれない(というかあの絵が出てくると思ってた)。

 

 

既に完成されていたと自分の中で思っていた作品がFDでどのように改変されるのかに対する恐れが多分にあったものの、ここで示されたひとつの可能性というのは私としては良いものだったと思える。絢華で個人的に期待外れのものを見て不安を抱きつつ進めた本作だったが、前作で蛇足としか思えなかったあの絵が本作でいい花を添えていて、上手く本編とFDのあわせてひとつの作品として成り立っていた(ハピメアの時と同じ充足感がそこにはあった)。