きままにほろり

銀色のシールの貼ったゲームのネタバレ感想ほか、徒然なるままに。

市営化

大阪の地下鉄が今年から“民営化”され、万博に向けて大胆な投資計画を発表して話題になりました。そんな近い時期に発表された北神急行“市営化”

 民営化の対義語として市営化という言葉が用いられているのでしょうが、水道事業ですら民営化の波が来ようとしている中ではそうそう見れる言葉ではないでしょう。

 北神急行 どうしてこんな謂れがされるかというと新神戸~谷上間の一区間のみを運行する鉄道会社だからです。当然その区間だけ鉄道会社を分けるとなると、その区間の料金収入だけで成り立たせる為に、初乗り運賃が適用される訳で…神鉄沿線から谷上経由で三宮へ出ようとすると、谷上と新神戸を跨ぐことで二度の初乗り運賃を徴収されることとなり、北神地域から三宮へ出るのには便利とはいえ通勤通学の選択肢としてのハードルには十分過ぎるものがあります。

開業当初から神戸市などによる運営補助により多少の値下げは続けてきましたが、H30年度で終わるスキームを区切りとして、抜本的な解決策を講じようとした結果がこの協議開始だったそうで。

記事では2年以内の実現を目指すとあり(個人的に開発案件において)決断の遅さで定評のある神戸市にしては、なかなかスピードを持って議論を進めるのだなと思っていました。…がその当日に行われた会見では、交渉ごとですので明確な実現目処には言及されませんでした。しかし、本年度で補助スキームを終えることがきっかけの話ですので、来年度からは…ということを考えると迅速にまとめる必要があるのは明らかでしょう。

 

しかし、市営化することでの活性化策が全く見えませんが、ここで北神のライバルとなる公共交通を想像するとそれが見えてこないでしょうか。それが市バス64系統などの路線バスの存在です。北神沿線の宅地から三宮へは、みなと観光と神戸市バスが主にメインルートとなっており、JR三ノ宮駅南側のバス停には通勤ラッシュになると始発のバスを待つ人の列が絶えず出来ています。そんなバスの乗客を北神に流せれば…とは誰だって考えますが、先述の理由を前にそんなことは出来ませんでした。

しかし市営化はこの流れを可能にする恐れがあります。市営地下鉄と競合する市バスの再編は路線の開業当初から繰り返されてきた当然の流れです。これを機運とみて三宮直行バスの谷上止は考えられないでしょうか。それが利用者の為になる施策とは到底想像しがたいものですが、「公共交通活性化協議会」における鉄道を軸としたバス路線の再編などの議論(淡河町のバス再編が例)を見ていると、妄想の域に留まる話とは思えません。

 

北神急行の“市営化”が北神地域の活性化に本当になるのか、それとも北神地域の息の根を止めることになるのか、今後の流れを注視していく必要があるでしょう。