きままにほろり

銀色のシールの貼ったゲームのネタバレ感想ほか、徒然なるままに。

夏空カナタ

ゆず通算三作目の作品ですが、自分がプレイしたのはゆずでは6作目の作品でした。新しいものを知った状態で旧作品をプレイするのは、操作環境では不自由も感じますが作品としては今に繋がる?ところもあって十分楽しみました。

塔弦島という年中常夏の島を舞台に島に住むヒロイン三人と、休みを利用して親戚の手伝いに来た主人公の交流の物語。年中常夏の島という時点で不思議なのですが当然そこには秘密があって…。

芽衣子→沙々羅→茅羽耶

 

塔弦島というのが本当は灯幻島と表記するのが本当で、強い願いを叶えることが出来る島だったというのがそれぞれの進行のベースになっている。今回はヒロインの物語に重きが置かれていて、前作のように選択によってサブキャラと楽しめる浮気なんてことはなかった。ただ今回は責任を取るかどうかで結末が変わってくるのが特異だぅただろうか。

 

芽衣子進行 過去のある事件をトラウマに抱える

今回の幼馴染み枠…ということなんだが年に数回にしか会わない親戚に恋慕なんか芽生えるのかなーとか考えたら負け。 遊び仲間で遊んでる最中に悪い観光客に襲われかけたことをトラウマに抱えるヒロインが、とある出来事をきっかけに思い出してしまう。

そのトラウマというのが強い恐怖を抱いたヒロインは願いによって当時遊んでいたカードゲームのキャラを具現化させてしまい、襲おうとした人間がそのモンスターに襲われて消えてしまう…というもの。 トラウマを乗り越えてモンスターに襲われた人々を助ける為に当時の再現をするヒロインと主人公。間一髪で乗り越えるもののヒロインには負担だったようで意識を失ってしまう。

無事ヒロインが意識を取り戻し、主人公が島に定住することを決心して終わる。物語の中で島自体の抱える問題には触れることなく終わるので、どちらかというと日常進行なのかも…しれない?

 

沙々羅進行 島の維持と本人の幸せ

この島のシステムを維持する神社の娘。家に閉じ込められていたせいか奔放(常識知らず)なところが、雰囲気によっては嫌悪感を抱くキャラになっていたかもしれない。

大きな仕組みを維持する為に人に犠牲を強いているところに前作に似たものを感じる。長年島を支えてきた巫女である母親に体力の限界がきて、島の存在そのものに揺れが生じるようになる。島の維持の為に娘に犠牲を強いようとする父親と、自分の娘には同じ目に遭わせたくないと突き放す母親に挟まれる沙々羅。 勘違いした母親に対する疎外感を抱くヒロインと母親の仲の修復を願い、尽力する主人公の経過を中心に描かれる。無事に母娘の仲を修復するも間を置かず島の維持の限界を迎える。苦悩の末に母親の願いを受け入れて島から出ようとする主人公とヒロインだったが、目の前に立ちはだかる父親の形相には怖いものがあった。

無事に島を二人が脱出した直後に島は崩落してしまう。ここでは選択肢によって二つの結末があるものの、終わりの場面が変わるだけで結末が変わるようなことは無いのでどちらでも構わないと思う(これだと後のやつがそうみたいだね)。島の維持にこの家族が関わるきっかけはここでは語られない。

 

茅羽耶進行 島に生かされた彼女

3日間しか記憶が保持出来ない少女との恋物語、漫画で○週間フレンズっていう作品もありましたがそういうのとはまた違う。ヒロインの秘密を知ってしまった主人公はめげずにヒロインの記憶に残ろうとして、ヒロインも記憶を取り戻していくが存在そのものに問題があった。

そもそも茅羽耶は記憶障害を起こした原因の事故で既に亡くなっていたはずのものを、両親の願いによって投影されているのが真相だと聞かされる。島の維持の限界が見えると同時に茅羽耶の存在の維持にも限界がきて、とうとう彼女の存在は消えてしまうことになる。 …ここから選択によって結末が異なる。

→シナリオA

巫女の尽力によってシステムによって茅羽耶を復活させることに成功する。役割を担う者として生き返った茅羽耶は、衰えた巫女に代わって自身がその役割を担うことを決心して主人公はそれを受け入れる。茅羽耶もいずれはその巫女のように身を削ることになることが予見されるが、主人公が改めて支える決意を固めるところで終わる。

→シナリオB

 事故で亡くなる前に茅羽耶を助けたいと願った主人公は、タイムスリップによって事故に遭った茅羽耶を間一髪のところで助けることができる。そして主人公と新たな形で出会い直す…というところで終わる。

 

茅羽耶進行のシナリオBはリスタートという形で、サノバにおける寧々進行の着想の原点にはなっているのではないだろうか。また沙々羅の宿命というのは千恋の芳乃の定めに似たところがあるのかもしれない(逃避と断ち切るのでは全く性格が違う気しかしないが)。前作(ExE)に比べるとより物語を深くやろうとした作品だったのかもわからない。