きままにほろり

銀色のシールの貼ったゲームのネタバレ感想ほか、徒然なるままに。

千恋*万花

近頃に何故かレビューサイトとか覗いて自分の感性は他人と比べてどうなんだろうかというのを確認してるんですが、時々ツッコミたくなったり共感したりする中で自分もこういうのを整理してみたいなと思い書いてます。プレイ数も少ないしブログという形式にはとりわけ飽き性だからいつまで続くのかわかりませんけど…。

 

まずは最近やった作品の方が書きやすいだろうという安直な理由で半月前に発売された作品をば(ってもう半月なのか時の流れは早いものよ)。ティザーサイトというか公式サイトの更新から発売まで待ち焦がれていた作品というだけあって、購入してからは一目散に進めていっていました。発売までに我慢しきれずに過去作品も数作プレイしたけれどもそれにも全く見劣りするようなものではなかったです。

(2016/8/10の記事を再構成)

進めた順番:茉子→レナ→小春→芦花→芳乃→ムラサメ

共通進行で物語の第一幕の主題というか事件ともいえるカケラの収集を完成し街に平穏が訪れたところから、新たに個別進行で始まる第二幕。メイン4人では新たな出来事が起きてそれを解決する過程で恋を実らせ発展させていく(例外としてレナの場合は全幕を通してひとつの物語の解決へと向かう)。サブ2人では完全に平穏を取り戻し新たな日常の中で芽生える恋が発展していく形で物語が展開していく。

  • 茉子 二人が恋人になるまでの過程が全進行の中で一番丁寧に描かれていた印象。何度も反芻してしまうのは当然のこと。二次厄災が上手く二人の物語に作用しているようで、解決する過程も終始どこかやさしい雰囲気に包まれた状態で物語が進んでいくようだった。すべてが終わり二人で語らうエピローグはこの進行の心地よさを締めくくるような和やかさで、見ているこっちも落ち着いた気分になるようだった。
  • レナ メインヒロインって何だったんだろうかとも思えるもう一つの物語の提示。他の進行とはこれだけ雰囲気が少し違うと言っても過言ではないはず。茉子とは逆で物語を解決する過程で自然に生じる恋という印象。後から振り返った時にきっかけが一番薄い気がする。各進行で解決のピースが散りばめられているけれど、厄災の本当の解決に触れられているのはこの進行ではないだろうか。途中でルート入ってしまったのは小説の巻末をチラ見してしまったような気分になったり。ヒロインでありながら実質二人のキャラを演じるとかやっぱりあの人凄いわー。
  • 小春・芦花 二幕の途中まで共通だったので、途中からどちらを選ぶか選択させられるのがちょっとためらわれた。選ばれなかった方が潔く去っていくのはゲームだからこその美なのかなぁ。親戚の妹との新たな関係を築くよりも、お姉ちゃんとのベタ甘いちゃラブの方が好みでした。「彼女でとまるのはヤだ。お嫁さんの方がいい……」ってところで落ちたよね。年上なのにやや幼い声なのがなおのこと良し。
  • 芳乃 物語を通して厄災で一番の負担というか罪を背負っている人。真の解消が第二幕でも中盤に訪れて拍子抜けしたような感じにはなったけれど、負担を背負って恋を進めるのならそのタイミングが丁度だったのかもと振り返ってみる。六花さんには本当に泣かされる。その後雪解けのように進む二人の物語は見守る上でも安心して進められたような。罪から解放されて見えた未来はエピローグとして素晴らしいものだった。
  • ムラサメ 厄災を解決した上で人柱となりしこの少女がどうなるのかという第二幕。全進行の中で一番主人公が頑張ってた気がするのは気のせいかな。鍛錬の場面がもう少し長かったら中弛みする危うさはあったと思う。ただ体力的に主人公むっちゃ活躍はするものの、内面の動きがその割に薄かったような気がしなくもない。主人公目線ながらヒロイン側の内面描写が中心のように思えたり。その分というかこの進行ではヒロインの感情の吐露に大きく感情が揺さぶられる。

 ごく当たり前のことなのかもしれないが、物語があって途中で分岐した先の答えにそれぞれの進行の間でズレが生じたりすると自分は進めながらずっと違和感に苛まれたりする。しかし見事にその違和感をこの作品全体を通して感じることが無かった。第一幕で謎となっていた部分が、各進行を進めることで全体を終えた時にすべて明らかになっているようにするには、緻密に組み上がってないと無理だろうなーと素人ながらに感じたり。FDを出さない前提で作られてる分しっかり魅せるところが締められていて、結末に納得して全進行を終えることが出来た(芳乃進行が中でもその骨頂と言えるのではないだろうか)。